FASHION, INTERVIEW, RICHEMO Asuka Cali, SPECIAL

ポルトガル発 バッグブランド PORTAに学ぶ、人と自然に寄り添う物作り 前編

PORTA Yukiko Sampaio interview Part1 by RICHEMO Asuka Cali

服や物作りは、かつてその地域の特色を活かした素材や織物を使い、伝統的な装飾が手縫いで加えられていました。しかしそれらがより身近なもの、より手に取りやすいものへと移り変わる過程で安く、大量に生産されるようになり、生産地のほとんどが「より安く作れる場所」へ移っていきました。
どこで、どうやって、誰の手によって作られているのかが見えにくくなってしまった現代に、今一度「地域や生産者に寄り添うサステイナブルな物作り」をしようと立ち上がったブランドが、ポルトガルにあります。

今回は、ポルトガルの小さな村に住む職人家族と共にカゴバッグを作っている、PORTA(ポルタ)のYukiko Sampaioさんにお話を伺いました。前編ではポルトガルとカゴバッグ、そして天然素材を使った物作りについてお届けします。

PORTA Interview ROUND Natural bag

PORTAについて教えてください。

PORTAはポルトガル語で扉という意味があります。ポルトガルでの暮らしを通じて、現地で大切にされているライフスタイルを感じてきました。

葦(あし)を生産し、手編みでテキスタイルを織る小さな村に暮らす職人家族との出会いから、そのサステイナブルな生産工程や素材感を表現するため、扉を開くポジティブな意味を込めてPORTAというカゴバッグブランドを2019年5月にスタートしました。

 

 

ポルトガルの方にとって、カゴバッグは身近なアイテムなのでしょうか?

現地のお友達に聞くと、カゴバッグはポルトガル人にとってとても懐かしいものだと言っていました。元々は農作物を入れて運ぶのに使われたり、お買い物に行く時に使われたりしていたそうです。小学校の時にお昼ご飯として持っていくサンドイッチを入れて持って行っていたようで、(ポルトガルでは)昔から馴染みのあるアイテムです。

ポルトガルの物作りとは、どのように出会われたのですか。

私が住んでいたポルトガル南部のショップで見かけた、ひとつの葦のカゴバッグがあるのですが、それがすごく可愛くておしゃれで、興味を持ちました。そのお店では天然のものでありながら、ヴィヴィッドなカラーが使われていて、それがすごくラグジュアリーな感じに見えて。それでそのブランドとやりとりを始めたのがスタートです。

そこからポルトガル北部で、あるブランドさんに出会い、実はそのエリア全体が葦を使った工芸品を作っている村だということを知りました。規模はすごく小さくて、家族で経営されている方が多いので、外の人を受け入れるということは感じられず、自分たちがやってきたことを守るという強いプライドが感じられました。そんな中ご縁があって、自分たちの思いを伝えて、一緒にバッグを作ってくれる職人家族に出会うことができたのですが、本当に珍しいケースだと思います。お互いの心の扉(ポルタ)が開いたことで、今があるのかなと思います。

PORTA bags interview hand woven bag made in Portugal

カゴバッグの素材として使われている葦には、どのような魅力があるのでしょうか。

葦は農薬を使うことなく4〜5メートルほどに成長し、専門の職人さんが年に一回刈り入れをします。一度収穫したら次の刈りは来年で、葦のライフサイクルに合わせた収穫をしています。ポルトガルの方々は、いかに無駄を作らないようにするかということを自然と取り入れていて、使われなかった部分は近くにいる馬や牛のためのベッドにするんだと教えてくれました。(葦を使った工芸を)100年も続けてこられているのは、自然の恩恵も受けて、無駄のないように自然に還元しているからなのかなと思います。本当にシンプルなことですが、現代社会にいると忘れがちなことなような気がします。

PORTA interview Reed harvesting

次回はPORTAさんの「自然と人に寄り添ったデザインと生産」についてお届けします。
後編はこちら>>

 

PORTA ウェブサイト
https://www.portabags.com/

TEXT: Asuka Cali EDIT: Hiroco Ryugo, Marie Yamamoto
GRAPHICS: Marie Yamamoto
PHOTOS: PORTA